大手企業によるアナリティクスの活用事例
【Panorama Software BI Blog より】
アナリティクスおよびビッグデータは企業ビジネスの大変理想的なツールであることが証明され、今後は多くの企業が有益に活用するための新しい方法を模索することになるでしょう。アナリティクスの活用計画には消費者から取得する情報の分析を目的とするものもあれば、主に社内での使用を目的としているものもあります。いずれにしてもアナリティクスおよびビッグデータ活用により企業は収益向上というメリットが得られ、企業から商品やサービスの提供を受ける消費者にもかなり大きなメリットをもたらす可能性があります。
アナリティクスで診療所の運営を強化するウォルグリーン (Walgreens)
全米各地で8200店舗を運営することで知られるドラッグストアの最大手フランチャイズ、ウォルグリーン (Walgreens) は2013年の年間売上高が720億ドル、1日の顧客数は600万人にのぼります。医薬品および日用品販売で非常に知名度が高い企業ですが、その店舗の多くは*1:診療看護師、*2:医師助手を配置した診療所を併設し、確かなレベルの基本的医療を提供しています。
ウォルグリーンでは診療所の運営効率改善と利益向上を目指してIT企業「イノベーション」 (Inovalon) との提携を拡大し、400か所の診療所に高度な評価機能を設置しました。このシステムは患者の過去の利用履歴をもとに収集したビッグデータアナリティクスおよび83億の医療事象に関する一般的な情報を主に活用しています。ウォルグリーン診療所部門担当長のヘザー・ヘル氏は、今後このサービスには多大な可能性があると評価しています。
「データアナリティクスの統合により患者の治療改善、最終的には治療成績の向上に役立つ洞察の取得を目指します。」ヘザー氏はこのように述べています。「今後は診療所のサービスの範囲をさらに拡大し、機能および診療所のスペースも拡大する予定です。革新的なソリューションの活用によって診療看護師、医師助手は患者治療チームとしてさらに重要な役割を果たすことができます。」
臨床試験データを公表するジョンソンエンドジョンソン (Johnson & Johnson)
世界最大のパーソナルケア製品および医薬品の巨大複合企業のひとつであるジョンソンエンドジョンソン (Johnson & Johnson) はかなり膨大な量の臨床試験データを蓄積しています。フォーブズ (Forbes) によるとジョンソンエンドジョンソン社ではこの情報をエール大学の「オープンデータアクセスプロジェクト (Open Data Access Project) 」と共有することで大きく前進すると紹介しています。同社は科学的研究と評価目的のために医療業界で初めて独立の第3者機関とのデータ共有を行うことになり、非常に大きな前進と言えます。
記事によるとエール大のプロジェクトリーダー、ハーレン・クルンホルツ氏は医療技術の発展のために有用なデータを共有するジョンソンエンドジョンソンの協力体制および透明性の確保は業界での好例となるとして、ジョンソンエンドジョンソン社の取り組みを高く評価しています。
*1:診療看護師(ナースプラクティショナー、Nurse Practitioner):アメリカで1960年代に生まれた修士レベルで診断・処方などができる上級看護師資格の一つ。大学院において専門的な教育を受け、比較的安定した状態にある患者を主たる対象として、自律的に問診や検査の依頼、処方等を行うことが認められた看護師のことで、アメリカ、カナダ、イギリス、韓国で認められている。
*2:医師助手:(フィジシャンアシスタント、Physicians Assistant)アメリカで認められている医療資格。PA修士号を経た者が、医師の助手として医師と協力して患者のケアにあたる。