2014.02.10

データの資産価値を高めるには
Panorama Software BI Blog より

 多くの企業が保有するデータの重要性とデータ保護の必要性を認識していますが、最近のレポートによると企業情報の資産的価値を実際に考慮している企業は少数であるという調査結果が発表されました。英国の経済誌「エコノミスト」の調査部門である「エコノミクスインテリジェンスユニット (Economist Intelligence Unit) 」によると、データアナリティクスについては多くの企業が自社の企業情報の資産的価値を評価する方法についてよく理解していないと紹介されています。ビジネスアナリティクスで企業資産や総合的な価値を明確に把握することは困難な場合もありますが、データの資産価値を評価するための適切なシステムの導入は企業にとって有利になるでしょう。

 データの資産価値を検討する企業は少数
 エコノミクスインテリジェンスユニットは18業種300企業の企業経営者者および上級管理職を対象に、企業の情報リスク管理の実態について調査を行いました。その結果から多くの企業がデータを価値ある資産と考えていますが、実際にデータを資産価値として定義している企業はおよそ10パーセントしかなく、およそ3社に1社はデータの資産価値評価の取り組みをまったく行っていないことがわかりました。

 自社の情報価値について確固とした考えを持っている企業は、データ保護の選択肢を増やすことができます。企業情報に資産価値を付与すると価値ある要素を保証することができ、データ侵害などの損害が起きた場合の安心感をある程度得ることができます。しかし一方でこのようにデータ保護を確保するためにはデータの価値を正しく評価することが不可欠であり、ここが肝要です。

 米国の四大会計事務所のひとつ、KPMGの情報保護パートナーであるステファン・ボナー氏は「コンピューティング (Computing) 」のインタビューで次のように述べています。「保険が適用されるものは、合理的な手続きをすべて済ませ、適切な管理を展開し、データ環境を監視しているものが対象です。」

 ビッグデータの資産価値を評価するには
 企業情報の資産価値を定義するための実証された確実な方法はまだ確立されていませんが、IBMは実現可能性のある戦略を提案しています。IBMのウェブサイト上の「ビッグデータ&アナリティクスハブ (Big Data & Analytics Hub) 」によると、顧客関係データの評価には**1:顧客生涯価値 (CLV) の測定が非常に効果的であることがわかりました。この方法ではデータを量、速度、種類、信ぴょう性という4つの価値に基づいて詳細に分析、評価します。この4つの要素は、あるデータが企業にとってどのように使われるかに重点を置いています。4要素の評価によってデータが企業に与える影響をより正しく理解でき、その結果この情報を資産価値として転換することが可能になります。

 (**1)
 顧客生涯価値 (CLV) :マーケティングの成果指標。1人(1社)の顧客が取り引きを始めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)を通じて、その顧客が企業やブランドにもたらす損益を累計して算出した数値。