顧客離れを低減する通信業界の勝利の秘訣とは
【Panorama Software BI Blog より】
デジタル変革の波は通信業界にも到達し、この傾向は止まる気配はありません。通信各社はサービスへの比重を高める傾向にあり、消費者向け (B2C) 市場と企業間取引 (B2B) 市場のどちらも重視しようとする中でAmazon, Facebook, Googleといったネットの巨人からの脅威に直面する機会がますます増えています。
通信業界では、従来通信業に関わっていなかったコンテンツサービスを提供する企業 (OTT) との競合が激化し、サービスの差別化が困難になってきており、顧客の解約を回避することが非常に重要な意味を持ちます。なぜなら通信業のビジネスモデルの土台のみならず、今後の成長力が顧客との長年にわたる信頼関係の上に成り立っているためです。ですから、強固な顧客分析データ、顧客履歴を有することは大きく成否を分けるための付加価値となります。さらにCSP(通信サービスプロバイダ)からみると、顧客維持によって、新規加入者獲得費用 (SAC) が低減する以前に顧客が離れてしまって利益を失うといったことがなくなり、顧客の生涯価値を確実に増加することができるでしょう。顧客維持は良いことである、契約の解約は悪いことである、これはもっともです。では、どのようにして顧客の解約を回避すればよいのでしょうか。
通信業界のトップ企業が競合他社の状況の変化に直面するなかで、顧客の側が利益を得る立場になりました。明確なサービスの差別化が難しくなっていますので、例えばユーザーがある企業が提示するサービスを気に入らない場合は、いとも簡単に別の企業に乗り換えてしまいます。この場合アナリティクスは、事業を戦略的に展開することを助けるうえで、通信業の手持ちの資源のなかで他と決定的に差別化を図るデータという武器を使いこなす、非常に重要な役割を果たします。
Nectoなどのアナリティクスツールを使うと、レガシーシステム内の分断されたデータソースを集約してまとまりのあるデータ分析環境を整備することができますので、そこから洞察を得ることができます。企業は特定の顧客プロフィールにまでデータのドリルダウンができ、それによって個別の顧客経験を提案し、顧客との重要な関係を持続的に築いて行きます。このようにして得た多くの洞察を活用して、業務プロセスの改善を実行し、社内データ、社外データ、あるいは競合他社データに基づく価格設定モデルの精度を向上させることが出来て、さらに顧客に対する次に行うべき最善の提案、次に実行すべき最善の施策をピンポイントに決定することが出来るなど、他にも多くのことが可能になります。
AIを搭載したアナリティクス、あるいはPanorama Nectoのような予測分析アナリティクスはディープニューラルネットワーク技術を使って予測分析のプロセスを自動化し、顧客離れを予測できます。Nectoにあらかじめ設定されたアルゴリズムが顧客、契約者の振る舞いを事前に予測し、解約する可能性のあるユーザーが誰か、その解約がいつ発生するかも予測します。CSPはこれらの洞察を活用して契約者にたいしてユニークな顧客経験や最善の提案を提示して解約を防止します。
言い換えればアナリティクスによって顧客が生み出す膨大な量のデータを集約し、解釈し、通信業の内なる最大の敵である顧客離れを予測し、防止するための、実行可能な最善の方法を得ることができます。アナリティクスは通信企業が顧客理解を深め、長期間にわたって顧客とのきわめて重要な関係を築くことを可能にする秘訣であり、料理におけるいわば秘伝の隠し味のようなものです。