Panorama Software社のCEOと、Info-Techリサーチセンターのアナリストが、BIソリューションの最新スタイル(全社集中型BIと部門別BIの併用)について解説
【"IT World Canada"掲載記事"Centralized BI not always the way to go"より】
全社集中型BIがオールマイティとは限らない
Kathleen Lau (ComputerWorld Canada)
「さまざまな組織で、ビジネスインテリジェンスの全社集中化が始まっているかもしれませんが、部門別のBIツールが必要無くなったわけではありません」
Info-Techのリサーチアナリストが、この事について解説します。
また、Panorama Software社のCEOが、「全社集中型BI」「部門別BI」それぞれがどのように機能するのかを解説します。
「企業向けビジネスインテリジェンスソリューションを、社内へと展開する際に問題となるのは『全社集中型データマネージメントが必要なのか』である」と、あるアナリストは言いました。
オンタリオ州ロンドンを拠点とするInfo-TechのシニアリサーチアナリストGeorge Goodall氏は次のように語りました。
「企業が、全社集中型(部門横断型)BIか部門別BI、どちらのアプローチを採用するべきかで議論している場合、それは解決しづらい問題となります。なぜなら、その答えは必ずしも1つではないからです。組織が、BIの“データマネージメント”としての側面と“データ分析”としての側面を混同している場合、間違った決断が下されることがよくあります」
「多くのケースでは、そうした人々はBIスィートを必要としていません。彼らに必要なのは、データマネージメントとデータガバナンスの実践により、問題に焦点を絞ることです。そして、組織内のエキスパートのためにデスクトップツールを改良することです」
また、Goodall氏は次のようにもコメントしています。
「全社集中型BIと部門別BI、両方のソリューションを使用したケースが確実に存在しています。しかし、それは、レポート作成機能と意思決定の標準化に対する、個々の組織の要求に応えることに主眼を置いています」
「例を上げると、全社集中型BIは、サプライチェーンの最適化と財務のようなコアプロセスを確立するためには必要不可欠です。一方、ユーザーと部門それぞれのレベルに合わせて、それとは異なったBIソフトウェアへの要求もあります。現場レベルのローカルな分析におけるBIの使用例も、当たり前のように存在します」
トロントを拠点とするBIベンダーであるPanorama Software社CEOのNavi Azarya氏は、企業の構造上、全社集中型BIと部門別BIの両方にそれぞれ適した場所があるという考え方に賛同しています。
「プリモデリングの量、データの階層構造の複雑さ(例えば、年-月または月-日のような時間の階層)、ETLツールとのインテグレーションといった要因により、どちらのBIを選択するかが決定されます」
近年、全社集中型BIへシフトする動きがある一方で、この潮流が、分析および機能性に対する個々の部門のニーズを必ずしも表していない、ということをAzarya氏は確信しています。
「全社集中型BIに整理統合することで、コストとナレッジの問題はある程度解決することが出来ます。しかしそれは、現場におけるビジネス上の問題が解決するということではありません。組織としては、全社集中型BIを採用する一方で、スタッフの間でもソフトウェアへの要求が多岐にわたるという認識を基に、部門別のBIアプローチを続ける可能性があります」
「エグゼクティブは、世界を見る視点が分析者とは異なります。そして、分析者は、世界を見る視点が事務員とはまったく異なります」
Panorama社BI製品(NovaView®)は、部門内のBIユーザーに向けて設計されているMicrosoft社のPowerPivotと、全社集中型アプローチをより意識した製品であるAnalysis Servicesの両方をサポートしています。
Azarya氏は、Microsoftが、今後3年から5年の間に、PowerPivotとAnalysis Servicesを統合することにより、今までとは違った展望をもたらすBIを顧客へ提供すると予測し、その事に備えています。
また、Azarya氏は、組織中に同じようなレポートが散在する可能性については、厄介な問題であるとはみなしていません。
なぜなら、それは各ユーザーの役割ごとにセキュアに設定された、情報マネージメント向けポータルを使用して取り組まれるべき問題だと考えているからです。
Goodall氏は、部門別BIは必ずしも全社集中型のBIアプローチと対抗するものではないという意見にも賛成しています。
また、部門別でのレポートは、データのオリジナルバージョンを危険にさらすことはないので、より推薦されている可能性があるとも述べています。