2012.06.20

金融機関が求める高機能なアナリティクス
【Panorama Software Industry News より】

 金融機関のIT責任者はビジネスインテリジェンスの将来に大変注目しており、特に顧客の消費行動を分析できる予測分析ツールへのニーズが高まっています。イギリスのニュースサイト「コンピューティング」によると、金融機関は小売業界よりも詳細な分析が可能であるというデータがでました。記事によると、金融機関と小売業は顧客の自由な消費行動を促す条件を整備することに関心があり、特に銀行では自行発行のカード売上の増加を目指しています。

 対象とする提案
 一般的に金融機関はアナリティクスに固有のデータソースにアクセスできます。それは分析する価値が高い顧客のクレジットカードの取引データです。クレジットカードを使うたびに購入場所、購入した店舗の業態の種類など多くの情報が蓄積され、金融機関ではこのようなデータポイントを統合して顧客の関心の実態を把握することができます。さらに、消費を促しカード保有者に購買動機を与える環境づくりが可能になります。

 金融機関では小売業界よりも幅広い範囲からデータを取得しています。そのためより詳細な分析が可能になり、有意な顧客像を構築することができます。「この顧客は半年前にジョン・ルイスで買い物をしたが今はプリマークで購入している。この情報からわかることは何か?」といった分析が可能になるということです。金融機関ではこのような分析はあまり熱心に行われてきませんでしたが、他行との競合が激化するなかで顧客データ分析能力の向上が求められるようになりました。

 記事によると金融機関は小売業の個々の企業よりもはるかに詳細なデータを保有していますが、顧客データ活用のためのアナリティクスモデルを作成する実際の経験は小売業界のほうが豊富です。また小売業とクレジットカード会社が提携する可能性もあり、金融機関は銀行が発行するクレジットカードによる取引が発生すると、1件ごとに対象となる小売業に報奨金を支払うというしくみを導入できます。さらに顧客が一定の提携先の店舗で買い物した場合に直接顧客にポイントを付与するプログラムも可能です。

 固有のスキルが必要
 テックターゲットでは、予測分析のための情報を抽出する企業の取組みについて特集しました。戦略分析の専門家ジェニファー・ゴレク氏は、理想的にはアナリストにはプログラマー、データサイエンティスト、説明者の3つの役割が求められると述べています。まず予測モデル作成に必要な、複雑で膨大なデータセットを扱うプログラミングの知識に詳しくなければなりません。複合的な変数を使うプロセスを構築する場合はデータサイエンスの知識が必要になります。さらに物事をわかりやすく説明する能力は、明確な言葉でアナリストが他の部署に明確に洞察を伝える上で大変重要です。