2012.08.07

急速に拡大するモバイルBI
【Panorama Software Industry News より】

 これまでのビジネスインテリジェンスソフトウェアは、多くの企業向け統合業務ソリューションと同様に、ユーザーがワークステーション上で大量の演算を実行しなければならず、作業に時間のかかるものでした。これに対してモバイルツールやクラウドから利用できるこれからのBIは、まったく新しい使用形態をユーザーに提供します。携帯端末からデータを確認できる機能によって企業経営者はどこにいてもオフィスと同様のBI環境を手に入れることができます。

 予測
 企業向けソフトウェア会社の経営者スコット・ターンブリッジ氏は、情報サイト「ZDネット」のインタビューに答え、モバイルBIは今後数カ月で急速に拡大すると予測しています。これまでのBIは、営業マンなどのモバイル機器の使用頻度が高い社員を強力に支援するシンプルなダッシュボードを提供してきました。今後はクラウドの展開が拡大するにつれて、モバイルの役割が変化し市場が拡大すると思われます。

 ターンブリッジ氏は次のように述べています。「モバイルBIユーザーの急増はまだこれからです。急増といってもオフィス内の社員全員がモバイルBIを使うという形態ではありません。今後の傾向としては、営業、生産、コスト管理など複数の業務を行う社員がリアルタイムで意思決定を行うために最新の情報にアクセスできる必要があるということです。」

 タブレット端末の普及は、モバイルBIの拡大に大きく貢献するかもしれません。モバイルBI開発の初期の段階にはスマートフォンの比較的小さい画面での使用を想定していましたが、タブレット端末の登場でモバイルBIの使用環境が大きく変化しました。アナリティクスツールにiPad対応の機能追加を要望するユーザーが増えており、アップル社の機器は次世代ソリューションの開発を強力に推進する可能性があります。

 激増するタブレット端末の出荷台数
 BI市場の拡大はタブレット端末の好調と密接な関係があります。IDCの最近の記事はBIの市場拡大を予測しています。記事によると2012年の第2四半期にタブレット端末の出荷台数が大幅に増加したことを発表しました。今年3月のiPad3の発売以降およそ2500万台が出荷され、アップル社製はそのうち1700万台を占めます。残りの800万台はアップルと競合する各社の機種です。タブレット端末は今後も情報技術に多大な変化をもたらす可能性があります。

 消費者向けデバイスと考えられていたこともあるタブレット端末ですが、今後ソフトウェアの購入を検討する場合にタブレット端末は差別化要因になる可能性があります。クラウドコンピューティングが普及すると、実質的にハードウェアとは別に高性能のプログラムをタブレット端末で実行することができるため、効率のよいITプロセスを実現する手段になります。ソフトウェアを机に設置したコンピュータでのみ使用する時代は終わりを告げるかもしれません。