政府機関のビッグデータ活用事例
【Panorama Software Industry News より】

　これからのビジネスインテリジェンスではビッグデータの分析が中心となるでしょう。データソースの分析は企業が保有する情報と社外の情報資源の活用方法に変革をもたらしました。政府機関ではデータ量の増大に伴ってビッグデータ分析の効果が注目されています。

　優先順位と機会活用
　政府機関がビッグデータアナリティクスを導入する場合には、ある一定の要件を満たす必要があります。アメリカの政府機関向け情報サイト「AOLガバメント」によると、ビッグデータ分析のための投資が過重な負担にならないために、克服するべきハードルについて解説しています。政府機関は中心となるアナリティクスプロセスだけでなく、それぞれの導入ステップを確実に実行して全体として機能できるように予算を確保しなければなりません。エンドユーザーへのスピーディな情報配信、および情報を蓄積する方法の確立が成功のために不可欠な要素です。

　アナリティクスは情報を洞察に転換するプロセスですが、公的機関では関連機関との情報共有ネットワークによってより効果的な洞察を取得することができます。記事ではデータへのアクセスを容易にするためにデータソースを共有し、データの収納場所を作成した政府機関の積極的な取り組みを紹介しています。記事によると、全米科学財団 (National Science Foundation) はデータソース共有の取り組みがもっとも進んだ政府機関であり、クラウドコンピューティングを推進する政府機関として紹介されています。アメリカ国立公文書館 (National Archives and Records Administration) も政府全体のアーカイブデータを一括して保管し、提供することが可能であると述べています。

　いま政府機関が保有し使用ができるレベルを超えて情報蓄積が拡大しているという課題があります。政府におけるビッグデータ分析の主な目的はこの課題に対応し、保有するデータをメリットに転換するということです。このような洞察への転換ができるかどうかは、データサイエンティストによる適切な助言が得られるかどうかによって決まるとウィーバー氏は述べています。ITの機能が全体としてうまく機能するためにはデータサイエンティストが必要です。

　世界的な懸念の高まり
　ビッグデータの展望および課題は、いま世界各国の公的機関で注目されています。イギリスの新聞「ガーディアン」によると、イギリスの政府機関の職員は情報量があまりに膨大になっていることに困惑しています。政府機関が適切なプログラムを整備することによって、新しいデータを活用することができ、行政サービスの改善につながると解説しています。

　ガーディアンによると、英国では予算削減と緊縮財政によって政府機関の力が弱まっていることから、優先度の高いプログラムを重点的に実行することが重要になっています。データ活用を中心とした課題解決の取り組みによって人的ミスの可能性を排除し、重点施策と財源確保に関する意思決定を支援することが期待されています。