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2016.09.06

BIの可能性を引き出す - ダークデータの分析から洞察を得るには
Panorama Software BI Blog より

 BIのおかげでビジネスのあり方に変革が起きました。しかしBIはまだ解放されていない可能性を秘めています。私たちが分析しているのは保有するデータのほんの一部であり、すべてではありません。取得する洞察は限定的で、したがって意思決定もまた限定的なものになります。

 多くの場合その原因はダークデータであり、ダークデータの分析の困難さが原因です。またいわゆる独創的な見方を妨げる、人間の偏見も原因となっています。ここで、想像してみてください。もし、あなたの保有するデータのすべてについて、洞察が得られるとしたらどうでしょう。そうなればBI を活用することははるかに意義のあることになり、さらに意思決定の質が向上し洞察に基づく決定ができるようになるはずです。そこにたどりつくためにはいくつか重要なポイントを押さえておかなくてはなりません。

 企業データのうちおよそ90% を占める「ダークデータ」とは?
 まずIT 業界でもっとも熱い話題「ダークデータとは何か?」という話題からはじめましょう。コンサルティング企業ガートナーによると、「ダークデータ」とは、「企業が事業活動の過程で収集、処理、保存するが、ほとんどの場合他の目的で活用できなくなった情報資産」と定義されています。つまり実質上所有してはいるものの、そのデータの分析を行い、活用する方法がわからない状態になっています。eメール、クレジットカード、購買情報、コールセンターの記録、写真などがこれに該当します。残念なことに企業が保有するデータのうちおよそ 90% が「ダークデータ」です。さらにこの 90%のデータの扱いにコストがかかり、リスクを伴うものも多く存在します。しかし ダークデータの分析によって有用な洞察を取得できるとすれば、保管や処理のためのコストも無駄ではなくなるでしょう。

 街灯効果 (Streetlight Effect)
 ダークデータの周辺には有用な情報が多く存在していますが、これは結果的に無視されています。これは「街灯効果」 (Streetlight Effect) と呼ばれるもののせいかもしれません。これは基本的な人間の心理です。すなわち、人は自分の知っている場所、自分のよくわかっている場所を探すということで、人がよく陥りやすい観察バイアスです。人が質問する内容や分析するデータは、自分がよく知っていること、関連があるとわかっていることに限られてしまうため、そのようなデータを分析しても洞察を得ることはできません。

 すでに保有しているデータにおける、潜在的な可能性のすべてを発揮することを阻害する原因がこの「街灯効果」です。それは現在よりさらに詳しい情報にもとづく意思決定を妨げます。同じデータについて何度も質問をして分析しても、いつも同じような結果しか得られません。質問の対象とする内容だけではなく、むしろ、まだ分析の必要性に気づいていないために、質問をしていない課題についてこそ回答を得る必要があります。

 BI 市場で今起きていること
 大概のBIソリューションは質問をすれば回答が得られるとユーザーに示唆するでしょう。あなたは、全体の10%の分析方法が判明しているデータを分析して、答を得るでしょう。しかし革新的なBIツールが開発されています。PanoramaソフトウェアのNecto™は、あなたが分析することも思いつかないような、残りの90%のデータから、自動的に答えを出します。したがって「ダークデータ」と「街灯効果」の組み合わせによる、あまりにも非効率な分析を回避できるでしょう。保有するすべてのデータから自動的に洞察を取得するようになると、それに動機づけられて具体的に仮説を立てて検証し、自ら洞察を生み出すようになるかもしれません。そうではなくとも、さらに多くの自動的に得られた洞察を詳細に調査できるようになるでしょう。

 洞察主導型の市場で何が起きるでしょうか?
 以下にいくつかの例を挙げます。

 自動車のテレマティクス保険
 自動車保険会社はテレマティクスボックスをユーザーの自動車の車内の見えないところに設置しています。テレマティクスボックスはブラックボックスとも呼ばれ、ユーザーがいつ、どこで、どのように車を運転したかについて、いくつかの項目を測定する装置です。例えば1日のうち運転した時間帯、道路の種類ごとのスピード、急加速や急ブレーキをかけたかなどを測定します。保険会社はこの情報を分析し、ユーザーの運転の傾向に基づいて保険の補償範囲を個別にカスタマイズし、ユーザーに保険料を提示します。

 中堅小売業
 ある中堅規模の小売業では商品の返品、配達の不備、請求書への問い合わせが増加していました。そこでエラーの発生パターンの吟味などから得られた洞察により、問題の原因は顧客データベース上の顧客の住所データの定義に欠陥があったためであることがわかりました。この企業は住所の誤りを訂正したことによって再配達のコスト削減に成功し、顧客からの支払が予定通りに回収できキャッシュフローが増加しました。これらの変更によって、この企業は顧客サービスの改善に成功しました。

 シリアルメーカー
 あるシリアル製品のメーカーは顧客からのコールセンターのデータを分析したところ、製品A について、グルテンフリーかどうかという問い合わせが急増していることがわかりました。製品Aはグルテンフリーではありませんでした。ところがその原因は製品Aの原材料ではなく、グルテンを含む他の製品と同一の製造ラインを使っていたことから、グルテンフリーではなくなっていることがわかりました。そこで製品Aを別の製造ラインに変更し、この製品を全く新しいグルテンフリーの市場に売り出すことができました。

 金融機関
 ある金融機関では多様なデータソースにデータを保管していました。すべてのデータを一括して分析して、売上増加の機会を把握することは不可能でした。しかし、すべてのデータを単一のデータベースに統合して分析すると、洞察が得られました。世帯名寄せを行い、夫と妻に対して統一したマーケティング提案を行いました。もっと分析を加えることによって子どものための預金口座を開くなどのオプションを提案することが出来ました。さらにパーソナライズされた提案として、大学生くらいの年齢の子どもには「学生口座」の開設を奨めることを行っています。

 製パン業界
 ある大手製パン企業は、データ分析を行った結果、売れ筋商品に使ったチョコレートフィリングの残りが大量に発生していることに気づきました。さらにホットドッグ用のバンズが、工場の製造工程で、かなり高い割合で割れてしまうことが判明しました。品質管理の観点から、割れたバンズを商品として販売することはできません。そこで、割れたバンズに余っていたチョコレートフィリングを詰めたものを商品化しました。そのままでは廃棄する材料を最大限に活用するために開発した商品でしたが、たちまち売れ筋商品となり、売上増加を達成しました。

 このように、自動的な洞察の取得を実現し、観察バイアスを回避してダークデータの潜在的可能性を活用しましょう。質の高い洞察によってより正確な意思決定が可能になり、新しいビジネスチャンスが広がります。柔軟な姿勢で新しい市場、新製品に目を向け、よりよい事業戦略の作成に役立てましょう。