2017.08.22

BI最前線 - 新時代のBIワークフロー
Panorama Software BI Blog より

 最新のビジネスインテリジェンスは、いままでにないBIワークフローを実現する、データアナリティクスの新時代を担うツールです。では「最新のBIワークフロー」と今までとの違いは、どのような点にあるのでしょうか。
 まず従来のBIモデルの検証から始めましょう。第1世代のBIは主にサーバー経由で機能し、管理されていました。当時のBIは帳票作成を主体とした、ごく基本的なアナリティクス機能を備えたもので、ダッシュボードの機能も限定的でした。帳票作成はすべてIT担当者によって行う必要があり、その作業に長時間を要しました。
 次にデスクトップPCにインストールする第2世代のBIが登場しました。第2世代BIの優れた機能としては、セルフサービスBIと、ユーザーのスキルにかかわらず使いやすいダッシュボードがあげられます。確かに最初は優れたBIのように思われましたが、やがてデータのサイロ化、セキュリティ上の課題、IT部門の求める要件が100%満たされないといった問題が明らかになりました。

 新時代のBIは、これらの両方の世代のBIの強みを組み合わせた次世代のBIです。BI業界は過去の失敗から学び、セルフサービス機能とデータの管理はどちらも重視すべきであるという結論に至りました。最新のBIを「最新」たるものにする要素とは業務ユーザーの要件を解決する能力を備えていることです。業務ユーザーは基本的なダッシュボードや帳票生成機能を超えた、さらに充実したセルフサービス機能、データの自動的発見、KPI監視などを求めています。それと同時に、全社統一分析、データアクセスのセキュリティ確保、パワフルなアナリティクスを維持するためのガバナンスを必要とする、IT担当部門とBIプロジェクトチームの要件を解決することが求められます。

 新世代BIのメリットを最大限に活用するためには、企業は最新のBIワークフローを導入する必要があります。その結果、IT部門、業務ユーザーともそれぞれの能力と役割に応じて、業務効率が向上します。
 BIプロジェクトが成功するのは、業務ユーザー、IT部門、すべての関係者が安全なシステム環境上で共同作業を行い、それぞれの知識、情報を共有する場合です。新時代のBIワークフローは以下の4つの要素から構成されます。

  1. データへのアクセスを安全に確保
     最新のBIワークフローを確実に成功させる第1の手順は、IT担当者がデータへのアクセス許可の初期認証を設定することです。ユーザーは企業内のさまざまな部門から多様なレベルのデータにアクセスする必要があります。データへのアクセスは必ず、しっかりと構成された安全な環境で行う必要があります。IT部門が第1段階の認証を設定したあとは、業務ユーザーは自由に全社統一分析にアクセスし、参照することができます。

  2. 分析とデータディスカバリ
     2つ目の要素は分析とデータディスカバリです。ユーザーはダッシュボードにある既存のテンプレートを使ってデータ分析を開始します。この点においてセルフサービス機能が非常に重要になってきます。BIプラットフォームは業務ユーザーの分析スキルを問わず誰にでも使いやすく、ダッシュボードの再使用やコンポーネントの追加修正などが簡単にできることが必要です。最新のBIソリューションはあらゆるスキルレベルのユーザーもデータ分析ができ、プラットフォーム上で洞察を発見、共有でき、しかも過去に使用していたExcelや他のツールに戻る必要がないということが実現されるべきです。Necto™のような最新のBIソリューションはユーザーのBIの技能レベルを問わず、2回クリックするだけで自動的に洞察を発見することができます。企業全体に最新のBIワークフローを採用するうえで、使いやすさはもっとも重要な要素です。

  3. 共同作業と洞察の共有
     ユーザーは洞察を発見し、洞察を同僚と共有することで集合知を充実させることができます。第1世代のBIプラットフォームの主な機能は静的な帳票生成であり、限定的でした。一方、最新のBIではユーザーがプラットフォーム上で他のユーザーとの共同作業ができ、これによってユーザーの発見をディスカッションしたり洞察を共有することができます。BIのセキュリティ環境が安全であり統一されているので、必要なデータと関連させながらディスカッションを公開し、セキュリティ上の不安なく共同作業、分析作業を行うことができます。
     最新のBIはデータの共有と共同作業を通じて洞察を提供します。洞察の共有は、ソーシャルエンタープライズになるための最初の手順です。ソーシャルエンタープライズは情報や考えを共有し、共同作業を行うソーシャルグリッドを活用して、企業社会内で今までにないレベルのつながりを可能にします。最新のBIはプラットフォーム上で意思疎通を円滑にし、洞察を共有するためにソーシャルネットワークやクラウドソース、スレッドを使ったディスカッションのコンセプトを取り入れています。

  4. ユーザー数の増加に対応できる機能とデータ管理
     最新のBIワークフローを成功させるためには、ユーザー数の増加に柔軟に対応できることとデータの管理が必要です。セルフサービスBIでは柔軟さが大きな課題となっています。BIプラットフォームは、分析スキルのあるエキスパートにも業務ユーザーにも役立ち、使いやすいものでなければなりません。ユーザー数の増加に柔軟に対応できるBIであれば部門横断的に導入できます。管理が万全であることもまた重要な課題です。誰でもデータにアクセスできる環境では、管理が万全であることは「全社統一分析」の維持に不可欠です。セルフサービスBIの導入に取組んだ企業のうち、必要な管理が十分になされ、企業にマイナスの影響を与えるデータの矛盾を防ぐことができている企業は10%以下であると言われています。セルフサービスBIがうまくいくかどうかは、とにかく管理が万全にできるかどうかにかかっています。

 統制されたBIソリューションを使うとユーザーはどのようなデータでも自由に分析、調査し、示唆される洞察を利用して行動に移すことができます。またIT部門はシステム全体を管理統制する力を得ることができます。これによって企業はもっとも貴重な企業財産である「データ」を最大限に活用することが可能になります。洞察の力を活用している企業は競争上の優位性を維持できます。今の時代、セルフサービスBIは企業にとって必須のツールです。最新のBIワークフローを成功させるためには、BIは統治の視点から適切に管理され、柔軟な対応ができることがまず第一に求められます。